邦楽・特にポップスは常に洋楽にやや遅れて進化してきた歴史があるが、今年は綺麗にシンクロ、なんなら時折先を行っていた一年だったような。特にyahyel、Seiho、Foodman、TOYOMU、Supersize meなど、実験音楽寄りの若手が輝かしい。またピコ太郎、BABYMETAL、Perfumeなどは、(海の向こうではやや色物扱いなのだろうけど)鮮やかに名を馳せた。
なんて書きながら別に洋楽に対抗したり模倣したりする必要はないと思う。大森靖子や宇多田ヒカルはシンガーとして、その歌唱と文学・美学がどんどん深みを増しているし、アイドルの楽曲を通じてアンダーグラウンドのクリエイター達がその手腕をポップス畑に見せつける構図は依然面白く頼もしい。日本の音楽はやっぱり良いなと感じる一年だった。
1. Boyish / Strings
大化けしたと勝手に思っている。おれの中のBoyishはラップトップっぽい(良い意味で)スカスカのシューゲイズ系バンドだったのだが、ここまで歌モノを書けるなんて。衝撃と共にその素晴らしさが余り広まっていないことを悲観して一位に。
2. Homecomings / SALE OF BROKEN DREAMS
一聴すると相変わらずの安定感にうっとりするが、聞き込んでいくと実は安定感以上にチャレンジングな作品だったと思わされる。白眉の『LIGHTS』ではSCLLやポストロックに接近するような向きも感じた。
3. スピッツ / 醒めない
名作「小さな生き物」に次ぐ15枚目。草野さんの声は初期に比べてややハスキーになっているが、それが今のスピッツの魅力か。『みなと』、『雪風』、『ヒビスクス』など名曲多し。圧倒的にマジョリティーを相手にした商業ベースのロックにして、こだわりへの妥協も一切ない、このバランス。カンペキとは言えないが、流石スピッツ。
4. Supersize me / Slouching Towards Bethlehem
日本にこんなドローンのバンドがいたことをまったく知らなかった。とにかく美しい。
5. Especia / CARTA
先行きの怪しいEspecia。なんとか12月にシングルが出て安心した。Vaporwave路線を少し脱したのはいいとして、90sというテーマのフックとなった山根康広作の曲は若旦那以上に意外だった(でもあの曲はむしろBiSHに合いそう)。とにかく相変わらず名曲揃いです。
6. Foodman(食品まつり) / Ez Minzoku
イージー・ミンゾク。やや警鐘に聞こえなくもない最高なタイトル。今年ブレイクしたTOYOMUも、そしてこの人も、アイデア感抜群の日本の若手ミュージシャンの実験音楽が少しずつ世界に渡っていくのが嬉しい。
7. Yasei Collective / Lights
何気な〜くかけていたらどんどんハマってしまった。キャッチー。人脈的にはなぜかロキノン系。
8. 大森靖子 / TOKYO BLACK HOLE
この人は本当に歌が上手い。歌唱力ではなく表現力。カラオケやゲーセン、ショッピングモールで当たり前のように掛かって消費されていくような音楽を意図的に志向しているような感じを覚えるが、この人の根底にある、無力無善寺で観たころ見せつけられたようなハングリー精神、表現することへのこだわりは隠しきれない。ポップさと奥深さがちょうどいい具合で溶け合った作品。そしてエイベックスにこれからも留まっていてほしい。
9. 宇多田ヒカル / Fantôme
10. カーネーション / Multimodal Sentiment
大森靖子とのコラボ曲も入っている。やはりこの声は落ち着く。コンスタントにカーネーションというバンドが作品を発表してくれることの有り難みを噛みしめる。
11. ナツ・サマー / 夏・NATSU・夏
アートワーク、顔、声、曲、コンセプト、全てがこのみにジャスト・フィット。最高です。しっかりしたアルバムを聞きたい。
12. NOT WONK / The Ordinary
名曲揃い。Apple Musicばかり使っていたので久々に物理盤を購入した思い出。
13. Negicco / ティー・フォー・スリー
14. MUSEMENT / Musement Fair
まさか復活するとは。9年のブランクのどこまでが制作期間だったか知らないが、かなり作りこまれていてどこを切っても素晴らしい。嬉しいサプライズ。
15. ayU tokiO / 新たなる解
原宿で見たミニ・オーケストラの豪華なライブが忘れられない。この人の野心・才能・こだわりは凄いものがある。
16. METAFIVE / META
17. yahyel / Flesh and Blood
"洋楽っぽい邦楽"が増えているがここまでシンクロしたか!という感じ。同列に語られることの多いD.A.Nよりずっと好きです。
18. 相対性理論 / 天声ジングル
毎回あまり食指が伸びないんだけど、味わってみれば安定のクオリティーに安心して耳を傾けることができる相対性理論。日本のバンドってあまり変化を志向しない気がするが、このバンドは地味にどんどん殻を破っている超変化型。今年は遂に武道館もこなしてしまった。
19. Maher Shalal Hash Baz / Hello New York
ほとんど宣伝もなく、たまたま見かけることでもなければ明らかにスルーしていたであろう作品。この様式美からは一度溺れたら抜け出せない。スッカスカのPharrel『Happy』のカバーも最高。そういえば冬里さんがFrank Oceanをカラオケで歌っている動画を見たことがあるが、一周回って俗っぽくなっていく様もまた面白い。
20. 辻林美穂 / Clarté
ややオーバー・プロデュース気味。Bandcampで出してた頃の音源の方が良かった曲も。ジャケ可愛い。
21. THE NOVEMBERS / Hallelujah
このバンドはずっとどこか惜しいと思っていたが、本作からシューゲイズ要素が強くなり(今更かよという気もするが)楽曲が格段に良くなった。
22. ザ・なつやすみバンド / Phantasia
Eテレの楽曲をやってて、ああしっくり来るなぁと思いながら、ちょっと寂しい気分にも。
23. 青葉市子 / マホロボシヤ
天才感漂う初期路線が好きでしたが、これはこれで…、前々作・前作よりは圧倒的に良い。そのうちジブリの映画音楽でもやるんじゃないかというような雰囲気。左巻きアーティストとの接触さえなければ…。変なメッセージ性は込めない方がよい。
24. サニーデイ・サービス / Dance To You
25. Sugar’s Campaign / ママゴト
26. Seiho / Collapse
27. Indigo la End / 藍色ミュージック
何かと話題を振りまいてしまった川谷氏。曲は良いのに、勿体無い。
28. 片想い / QUIERO V.I.P.
29. aiko / May Dream
30. 王舟 / PICTURE
12/28/2016
私的2016年音楽作品番付 アルバム編 <洋楽>
ブラック・ミュージック隆盛がここのところずっとの流れだが、アンビエント・電子音楽、エモ辺りがやや新しい流れを伴って台頭して来たのが面白い一年でした。PinegroveやCryingを要するRun for Coverレーベルの諸作は素晴らしかったし、Mitski、Whintey、The Lemon Twigsなど無名からブレイクした多くのアーティストもそれぞれ個性的で期待できる。また大御所アーティストの訃報が相次いだが、当然ロックの全盛期は6〜80年代であり、年齢的に2017年も訃報は止まらないだろう。その分、新陳代謝のように歌心をしっかり持ったニューフェイスが台頭し、そのDNAをしっかり引き継いでいるように感じます。
以下の選はiPhoneのメモ帳に良かったアルバムを記録していったら60枚ほどになったのでそれを好きな順に並べたものです。
1. Pinegrove / Cardinal
久しぶりにこのテの音楽を聞いたなと思ったら、いつの間にやらエモ系・パンクロックが復権を果たしていたらしく、HotelierやBeach Slangなど若手に加えて、Mike Kinsellaも動きを見せ、Owen新譜やInto It. Over It.始動、果てはAmerican Football再始動など話題に事欠かなかった今年。不思議とこういうのは同時多発的に起こるなあ。これがムーブメントというものなのでしょうか。そんな中ルーツをしっかり持ち、アメリカン・ロックの哀愁を帯びた正統派ロックバンドPinegroveの今作は、時機もバッチリに登場するべくして登場した記念碑的作品であると思います。
2. Anenon / Petrol
ドローン系のエレクトロニカと有機的なサックスが美しく絡む、ありそうでなかった音。巧みな采配で一音一音が丁寧に計算され敷かれている。曲の振り幅も広く、バックグランウンドの豊かさを感じさせます。関係ないけどこのジャケ写はアルバムの音をうまく表してますね。
3. KING / We Are KING
再生数は今年No.1のアルバム。Eric Robersonへの客演で名を馳せましたが、やや間隔をあけて今回のリリース。決して派手でないが、ジワジワと染み入るスルメソングを揃えた精緻で完璧な一枚。女性三人組ということでかなり華があるのに、どうも扱いが地味な気がする…。所謂コーラス・グループではなく、トラックも作れちゃうニュータイプです。
4. Anderson .Paak / Malibu
私の仕事の繁忙期は1〜2月なのですが、2016年の年明けくらいから仕事しながらずっと聴いていたアルバム。ブラック・ミュージックが隆盛を見せる中、オイシイところをコンパクトに詰め込んだ時代を象徴する傑作。Knxwledgeと組んだNxWorriesも快調で2017年も活躍は間違いない。ScHoolBoy Q 、Talib Kweliらも参加。とても聞きやすい。母親が韓国人(故に朴=Paak)という背景も面白い。
5. Frank Ocean / Blonde
既成概念をぶち壊すだけの作品ならある程度のミュージシャンであれば皆できるのだろうけど、それを聞かせる音に仕上げるのはテクニックではなくセンスだ。Frank Oceanと相変わらずのKanye Westは2016年にリリース方法の段階から鮮やかにそれをやってのけた。何度も試行錯誤した結果「Channnel Orange」から既に4年も経過したが、それはまたある種のグッド・タイミングであり、小手先のトラックで奇を衒うタチの悪いフォロワーが跋扈するシーンに新たな一石を投じた。孤独とは、自分とは、他人とは…考え出すと眠れなくなったあの子供時代の哲学を大人バージョンでもう一度味わうような気分になる一枚。それはそうと、日米それぞれの象徴的な作品である今作(のCD版)と宇多田ヒカル「Fantome」の両方に参加したKOHHはすごいな。
6. Bon Iver / 22, A Million
全2作が完璧だっただけにコンセプチュアルで実験的な今作はどうなるか非常に気になっていたが、これまで「美しい〜」「気持ちいい音〜」という感想が上に来ていたのに対し、今作ではそのリリック、メッセージに非常に心を打たれた。ジャケットの太極図が表す通りのテーマである「二元論」思考、面白いしなんとなく内面化された気がする。道教を学んでいたというJunstin Vernonの奥深い思考はまだほとんど理解できていませんが、読み解いていくといつまでも楽しめそうな作品。
7. Car Seat Headrest / Teens of Denial
車の中で録音された膨大な宅録アーカイブをBandcampで発散していた第一のピークから早4〜5年、バンドを手に入れたローファイ少年がストレートで瑞々しいロックを鳴らす様はちょっと泣けたりする。実話ネタをちょいと差し込み、弱冠20代にして達観した価値観で人生を語る楽曲を聴いていると次作でまだまだ跳ねる予感を覚える。プロデューサーはCloud NothingsのSteve Albiniに対抗してか(?)同じくNirvanaのプロデュースを務めたSteve Fiskを起用、抑揚のある素晴らしい構成の楽曲がずらりと並ぶ聞き応えのある作品に仕上がった。※ローファイって書きましたがそんな感覚は無しに聞けます。
8. Deakin / Sleep Cycle
Animal Collectiveの新作が期待ハズレで、先行トラック「FloriDada」もアンセムではあるものの中途半端に売れてしまったが故かインディー臭さが抜けて微妙な感じだな…なんて思っている時に出たDeakinのソロこそがまさに自分が求めていた音であった。あまり取り上げられてないように思うが、サイケサイケしていないところも含めPanda Bearのソロよりずっと好き。
9. Huerco S. / For Those Of You Who Have Never (And Also Those Who Have)
OPNの「Software」からもリリースしているHuerco S.。今作で初めて聞いた。「Promises of Fertility」などレコードのノイズのような音をベースにして美しい電子音を重ねられるのは
私の大好物。ミニマルで飽きが来ず、これからもずっと聞ける気がする。
10. The Caretaker / Everywhere at the End of Time
突如リリースされたThe Caretakerの(約)10枚目のアルバム。「Empty 〜」の頃からJames Kirbyのサウンドは自分にとって最高のベッドタイム・パートナーであり、本作も一聴して「昔からそこにあった」ような懐かしさを伴った美しく暖かい唯一無二のアンビエント・ミュージックである。日本ではこのアルバムのアナログ盤は出回っているのかわからないが、敢えてこそデジタルでエンドレスで聴きたい作品。
11. Danny Brown / Atrocity Exhibition
分かる人には「お!」となるであろう、J.G.バラードの同名小説にインスパイアされたJoy Division「Closer」の一曲目から拝借されたタイトルを冠したこのアルバムは、その由来の通り非常にロック寄りの指向性を持つ。ヒップホップとは親和性の高いであろうインダストリアル系の音もあれば、ノー・ウェーヴを思わせる怪しい雰囲気も十分にあり、ツボにハマればとことん入り込める。ヒップホップ畑の中でも異色の作品であると思うが、十分にポップ。
12. Mitski / Puberty 2
日米のハーフであるミツキ・ミヤワキのプロジェクトMitski。日本生まれならでは琴線に触れる美しくエモーショナルなロック。「Your Best American Girl」は歴史に残る名曲になった。日本人がもっと関心を持ってくれたらと思う。
13. Jenny Hval / Blood Bitch
前作同様、アートワークには全幅の信頼をおけるSacred Bonesからのリリース。よくExperimentalという括りで語られている記事を見るが、どちらかというとシンガーという部分をフィーチャーした作品になっていると思う。
14. SunPath / Dream Music (Reissue)
一周回って時代にフィットした絶好のタイミングでまさかのリイシューBOX発売。チルアウトする。Lewisの「Romantic Times」のように時代を超えたロマンを感じる。
15. Kedr Livanskiy / January Sun
可愛いのにバッキバキで素晴らしい。
16. Leonard Cohen / You Want It Darker
最初にリード・トラック『You Want It Darker』を聞いた時にはまだ彼は存命だったが、Bowieのラスト作と同じように一言一言を絶命の時の呼吸のように吐き出すサウンドにゾクっとしたものだ。生と死は常に50:50で思考の半分が死やダークサイドに関してでもおかしくないと思っていたが、そもそも生と死をポジ・ネガの感覚で分けること自体間違っていたのかと気づかされる。
17. Radiohead / A Moon Shaped Pool
Rachel Owenの死と、Thomとの別離の関係、経緯。このアルバムに遂に『True Love Waits』が収録されたこと、『Daydreaming』の映像とリリックに色々ヒントを見出せるが、色々思うところはあるが全て妄想に過ぎない。登場すべくして登場した、誰よりもThomにとって意味のあるアルバム。
18. Mayer Hawthorne / Man About Town
昨年のTuxedoも素晴らしかったMayerの新作。どうも懐古ポップスとしてしか見られていない気がするがここまでのクオリティーで作れちゃう才能というのはかなりのものかと。
19. C Duncan / The Midnight Sun
全然ノーマークだったし、今でもどんな人なのか全く知らないのだが、豊穣な音楽的背景を感じさせるドリーミー・ポップと言うべき一枚。
20. Common / Black America Again
ブラックミュージックが好きな人にとっては今年は豊作であったことは間違いないだろうが、センセーショナルな各種作品の陰に隠れてしまった感も否めないCommonの作品。2000年代にはKanye Westと共作とも言うべき作品を出していたこの人も、今やKanyeの新作のようなとことんイっちゃってる作品とは対照的な安定したサウンドで、なんだか安心する。急遽変更されたというタイトルの通り、サンプリングを駆使したメッセージとリスペクトの強さは流石。
21. Kanye West / The Life of Pablo
22. A Tribe Called Quest / We Got It From Here… Thank You 4 Your Service
23. Whitney / Light Upon the Lake
Smith Westernsが割れてこのWhitneyとCullen Omoriとでソロデビューが飾られた2016年だったわけですが、Cullenのイマイチぱっとしない感じとは対照的に、Whitneyは独自のカントリー・フォーク路線を堂々と歩き大ブレイクした。アルバムのジャケットに遇らわれた薔薇に隠されたストーリーを妄想するとちょっと胸がキュンとする。
24. The Snails / Songs from the Shoebox
Future Islandsのシンセ感とはまた別のソングライティング力を見せつける一枚。元々持っていたマッチョ感が裸の歌によっていい具合に露呈され、スプリングスティーンがPeru Ubuに加わったような濃厚さに。
25. Ice Choir / Designs in Rhythm
昔から思っていたが、このバンドのアートワークは思いっきり日本寄りに振れている。Vaporwave勢が借りていたような80年代〜90年代初期の日本産レコードのフォーマットを緻密に再現し、鈴木英人やわたせせいぞうのような爽やかなイラストを取り入れている。このレトロ回帰の動きは原稿のJ-POPシーンともシンクロしており、やはりKurt Feldmanは日本が好きだったのかなと感じた。そしてそれは音も然り、である。Pains勢の音には無条件で体が反応してしまうのです。
26. David Bowie / Blackstar
27. Jeff Rosenstock / WORRY.
Bomb The Music Industry!のメンバーのソロ。詳しくないがかなりのメロディーメイカー。
28. Hamilton Leithauser + Rostam / I Had a Dream That You Were Mine
29. Weezer / Weezer(White Album)
『California Kids』を聞いて、これは来るな!と直感した通り久々に突き抜けた快作。
30. The Lemon Twigs / Do Hollywood
31. FIS / From Patterns To Details
タイトルの通り自然界の法則性・パターンにインスパイアされた作品。アンビエントというよりはノイズに近い音だが、金属音のような快楽要素も多く心地よい。自然界のパターンというのはこんなインダストリアルなものなのか。
32. Ablebody / Adult Contemporaries
なぜかTSUTAYAでレンタルされてて笑ってしまった。このHochheim兄弟もまたPains人脈であり、Ice Choirと同じく明らかに日本を攻めに来てる。Roman a Clef然り、私は無条件にPains系の音を受け入れる。
33. Julianna Barwick / Will
上と同様に、私は無条件でJulianna Barwickの音を受け入れ、愛する。
34. Drive-By Truckers / American Band
35. Powell / Sport
36. Solange / The Seat at the Table
37. MV&EE / Root/Void
38. Lambchop / FLOTUS
39. Cass McCombs / Mangy Love
40. Crying / Beyond the Fleeting Gales
41. Hotelier / Goodness
42. Thomas Cohen / Bloom Forever
43. Kendrick Lamer / untitled unmastered.
44. Steve Hauschildt / Stands
45. Suede / Night Thoughts
46. D.D Dumbo / Utopia Defeated
47. Torn Hawk / Union and Return
48. Porches / Pool
49. ANOHNI / Hopelessness
50. Parquet Courts / Human Performance
51. Angel Olsen / My Woman
52. Jesu/Sun Kil Moon / Jesu/Sun Kil Moon
53. Nothing / Tired of Tomorrow
54. BADBADNOTGOOD / IV
55. Japanese Breakfast / Psychopomp
56. Chance The Rapper / Coloring Book
57. Childish Gambino / “Awaken, My Love”
58. Oval / Popp
59. Pavo Pavo / Young Narrator in the Breakers
60. American Football / American Football
番外 Run The Jewels / RTJ3
番付作った後に出てまさかの先行リリースされた作品。
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以下の選はiPhoneのメモ帳に良かったアルバムを記録していったら60枚ほどになったのでそれを好きな順に並べたものです。
1. Pinegrove / Cardinal
久しぶりにこのテの音楽を聞いたなと思ったら、いつの間にやらエモ系・パンクロックが復権を果たしていたらしく、HotelierやBeach Slangなど若手に加えて、Mike Kinsellaも動きを見せ、Owen新譜やInto It. Over It.始動、果てはAmerican Football再始動など話題に事欠かなかった今年。不思議とこういうのは同時多発的に起こるなあ。これがムーブメントというものなのでしょうか。そんな中ルーツをしっかり持ち、アメリカン・ロックの哀愁を帯びた正統派ロックバンドPinegroveの今作は、時機もバッチリに登場するべくして登場した記念碑的作品であると思います。
2. Anenon / Petrol
ドローン系のエレクトロニカと有機的なサックスが美しく絡む、ありそうでなかった音。巧みな采配で一音一音が丁寧に計算され敷かれている。曲の振り幅も広く、バックグランウンドの豊かさを感じさせます。関係ないけどこのジャケ写はアルバムの音をうまく表してますね。
3. KING / We Are KING
再生数は今年No.1のアルバム。Eric Robersonへの客演で名を馳せましたが、やや間隔をあけて今回のリリース。決して派手でないが、ジワジワと染み入るスルメソングを揃えた精緻で完璧な一枚。女性三人組ということでかなり華があるのに、どうも扱いが地味な気がする…。所謂コーラス・グループではなく、トラックも作れちゃうニュータイプです。
4. Anderson .Paak / Malibu
私の仕事の繁忙期は1〜2月なのですが、2016年の年明けくらいから仕事しながらずっと聴いていたアルバム。ブラック・ミュージックが隆盛を見せる中、オイシイところをコンパクトに詰め込んだ時代を象徴する傑作。Knxwledgeと組んだNxWorriesも快調で2017年も活躍は間違いない。ScHoolBoy Q 、Talib Kweliらも参加。とても聞きやすい。母親が韓国人(故に朴=Paak)という背景も面白い。
5. Frank Ocean / Blonde
既成概念をぶち壊すだけの作品ならある程度のミュージシャンであれば皆できるのだろうけど、それを聞かせる音に仕上げるのはテクニックではなくセンスだ。Frank Oceanと相変わらずのKanye Westは2016年にリリース方法の段階から鮮やかにそれをやってのけた。何度も試行錯誤した結果「Channnel Orange」から既に4年も経過したが、それはまたある種のグッド・タイミングであり、小手先のトラックで奇を衒うタチの悪いフォロワーが跋扈するシーンに新たな一石を投じた。孤独とは、自分とは、他人とは…考え出すと眠れなくなったあの子供時代の哲学を大人バージョンでもう一度味わうような気分になる一枚。それはそうと、日米それぞれの象徴的な作品である今作(のCD版)と宇多田ヒカル「Fantome」の両方に参加したKOHHはすごいな。
6. Bon Iver / 22, A Million
全2作が完璧だっただけにコンセプチュアルで実験的な今作はどうなるか非常に気になっていたが、これまで「美しい〜」「気持ちいい音〜」という感想が上に来ていたのに対し、今作ではそのリリック、メッセージに非常に心を打たれた。ジャケットの太極図が表す通りのテーマである「二元論」思考、面白いしなんとなく内面化された気がする。道教を学んでいたというJunstin Vernonの奥深い思考はまだほとんど理解できていませんが、読み解いていくといつまでも楽しめそうな作品。
7. Car Seat Headrest / Teens of Denial
車の中で録音された膨大な宅録アーカイブをBandcampで発散していた第一のピークから早4〜5年、バンドを手に入れたローファイ少年がストレートで瑞々しいロックを鳴らす様はちょっと泣けたりする。実話ネタをちょいと差し込み、弱冠20代にして達観した価値観で人生を語る楽曲を聴いていると次作でまだまだ跳ねる予感を覚える。プロデューサーはCloud NothingsのSteve Albiniに対抗してか(?)同じくNirvanaのプロデュースを務めたSteve Fiskを起用、抑揚のある素晴らしい構成の楽曲がずらりと並ぶ聞き応えのある作品に仕上がった。※ローファイって書きましたがそんな感覚は無しに聞けます。
8. Deakin / Sleep Cycle
Animal Collectiveの新作が期待ハズレで、先行トラック「FloriDada」もアンセムではあるものの中途半端に売れてしまったが故かインディー臭さが抜けて微妙な感じだな…なんて思っている時に出たDeakinのソロこそがまさに自分が求めていた音であった。あまり取り上げられてないように思うが、サイケサイケしていないところも含めPanda Bearのソロよりずっと好き。
9. Huerco S. / For Those Of You Who Have Never (And Also Those Who Have)
OPNの「Software」からもリリースしているHuerco S.。今作で初めて聞いた。「Promises of Fertility」などレコードのノイズのような音をベースにして美しい電子音を重ねられるのは
私の大好物。ミニマルで飽きが来ず、これからもずっと聞ける気がする。
10. The Caretaker / Everywhere at the End of Time
突如リリースされたThe Caretakerの(約)10枚目のアルバム。「Empty 〜」の頃からJames Kirbyのサウンドは自分にとって最高のベッドタイム・パートナーであり、本作も一聴して「昔からそこにあった」ような懐かしさを伴った美しく暖かい唯一無二のアンビエント・ミュージックである。日本ではこのアルバムのアナログ盤は出回っているのかわからないが、敢えてこそデジタルでエンドレスで聴きたい作品。
11. Danny Brown / Atrocity Exhibition
分かる人には「お!」となるであろう、J.G.バラードの同名小説にインスパイアされたJoy Division「Closer」の一曲目から拝借されたタイトルを冠したこのアルバムは、その由来の通り非常にロック寄りの指向性を持つ。ヒップホップとは親和性の高いであろうインダストリアル系の音もあれば、ノー・ウェーヴを思わせる怪しい雰囲気も十分にあり、ツボにハマればとことん入り込める。ヒップホップ畑の中でも異色の作品であると思うが、十分にポップ。
12. Mitski / Puberty 2
日米のハーフであるミツキ・ミヤワキのプロジェクトMitski。日本生まれならでは琴線に触れる美しくエモーショナルなロック。「Your Best American Girl」は歴史に残る名曲になった。日本人がもっと関心を持ってくれたらと思う。
13. Jenny Hval / Blood Bitch
前作同様、アートワークには全幅の信頼をおけるSacred Bonesからのリリース。よくExperimentalという括りで語られている記事を見るが、どちらかというとシンガーという部分をフィーチャーした作品になっていると思う。
14. SunPath / Dream Music (Reissue)
一周回って時代にフィットした絶好のタイミングでまさかのリイシューBOX発売。チルアウトする。Lewisの「Romantic Times」のように時代を超えたロマンを感じる。
15. Kedr Livanskiy / January Sun
16. Leonard Cohen / You Want It Darker
最初にリード・トラック『You Want It Darker』を聞いた時にはまだ彼は存命だったが、Bowieのラスト作と同じように一言一言を絶命の時の呼吸のように吐き出すサウンドにゾクっとしたものだ。生と死は常に50:50で思考の半分が死やダークサイドに関してでもおかしくないと思っていたが、そもそも生と死をポジ・ネガの感覚で分けること自体間違っていたのかと気づかされる。
17. Radiohead / A Moon Shaped Pool
Rachel Owenの死と、Thomとの別離の関係、経緯。このアルバムに遂に『True Love Waits』が収録されたこと、『Daydreaming』の映像とリリックに色々ヒントを見出せるが、色々思うところはあるが全て妄想に過ぎない。登場すべくして登場した、誰よりもThomにとって意味のあるアルバム。
18. Mayer Hawthorne / Man About Town
昨年のTuxedoも素晴らしかったMayerの新作。どうも懐古ポップスとしてしか見られていない気がするがここまでのクオリティーで作れちゃう才能というのはかなりのものかと。
19. C Duncan / The Midnight Sun
全然ノーマークだったし、今でもどんな人なのか全く知らないのだが、豊穣な音楽的背景を感じさせるドリーミー・ポップと言うべき一枚。
20. Common / Black America Again
ブラックミュージックが好きな人にとっては今年は豊作であったことは間違いないだろうが、センセーショナルな各種作品の陰に隠れてしまった感も否めないCommonの作品。2000年代にはKanye Westと共作とも言うべき作品を出していたこの人も、今やKanyeの新作のようなとことんイっちゃってる作品とは対照的な安定したサウンドで、なんだか安心する。急遽変更されたというタイトルの通り、サンプリングを駆使したメッセージとリスペクトの強さは流石。
21. Kanye West / The Life of Pablo
22. A Tribe Called Quest / We Got It From Here… Thank You 4 Your Service
23. Whitney / Light Upon the Lake
Smith Westernsが割れてこのWhitneyとCullen Omoriとでソロデビューが飾られた2016年だったわけですが、Cullenのイマイチぱっとしない感じとは対照的に、Whitneyは独自のカントリー・フォーク路線を堂々と歩き大ブレイクした。アルバムのジャケットに遇らわれた薔薇に隠されたストーリーを妄想するとちょっと胸がキュンとする。
24. The Snails / Songs from the Shoebox
Future Islandsのシンセ感とはまた別のソングライティング力を見せつける一枚。元々持っていたマッチョ感が裸の歌によっていい具合に露呈され、スプリングスティーンがPeru Ubuに加わったような濃厚さに。
25. Ice Choir / Designs in Rhythm
昔から思っていたが、このバンドのアートワークは思いっきり日本寄りに振れている。Vaporwave勢が借りていたような80年代〜90年代初期の日本産レコードのフォーマットを緻密に再現し、鈴木英人やわたせせいぞうのような爽やかなイラストを取り入れている。このレトロ回帰の動きは原稿のJ-POPシーンともシンクロしており、やはりKurt Feldmanは日本が好きだったのかなと感じた。そしてそれは音も然り、である。Pains勢の音には無条件で体が反応してしまうのです。
26. David Bowie / Blackstar
27. Jeff Rosenstock / WORRY.
Bomb The Music Industry!のメンバーのソロ。詳しくないがかなりのメロディーメイカー。
28. Hamilton Leithauser + Rostam / I Had a Dream That You Were Mine
29. Weezer / Weezer(White Album)
『California Kids』を聞いて、これは来るな!と直感した通り久々に突き抜けた快作。
30. The Lemon Twigs / Do Hollywood
31. FIS / From Patterns To Details
タイトルの通り自然界の法則性・パターンにインスパイアされた作品。アンビエントというよりはノイズに近い音だが、金属音のような快楽要素も多く心地よい。自然界のパターンというのはこんなインダストリアルなものなのか。
32. Ablebody / Adult Contemporaries
なぜかTSUTAYAでレンタルされてて笑ってしまった。このHochheim兄弟もまたPains人脈であり、Ice Choirと同じく明らかに日本を攻めに来てる。Roman a Clef然り、私は無条件にPains系の音を受け入れる。
33. Julianna Barwick / Will
上と同様に、私は無条件でJulianna Barwickの音を受け入れ、愛する。
34. Drive-By Truckers / American Band
35. Powell / Sport
36. Solange / The Seat at the Table
37. MV&EE / Root/Void
38. Lambchop / FLOTUS
39. Cass McCombs / Mangy Love
40. Crying / Beyond the Fleeting Gales
41. Hotelier / Goodness
42. Thomas Cohen / Bloom Forever
43. Kendrick Lamer / untitled unmastered.
44. Steve Hauschildt / Stands
45. Suede / Night Thoughts
46. D.D Dumbo / Utopia Defeated
47. Torn Hawk / Union and Return
48. Porches / Pool
49. ANOHNI / Hopelessness
50. Parquet Courts / Human Performance
51. Angel Olsen / My Woman
52. Jesu/Sun Kil Moon / Jesu/Sun Kil Moon
53. Nothing / Tired of Tomorrow
54. BADBADNOTGOOD / IV
55. Japanese Breakfast / Psychopomp
56. Chance The Rapper / Coloring Book
57. Childish Gambino / “Awaken, My Love”
58. Oval / Popp
59. Pavo Pavo / Young Narrator in the Breakers
60. American Football / American Football
番外 Run The Jewels / RTJ3
番付作った後に出てまさかの先行リリースされた作品。
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