静岡からはるばる幕張まで、車でタイトスケジュールで行って来た。
というのも、すべてはあの伝説の「タコ」がスペシャルバージョンで登場するからである。
30時間ほど眠らない中体験したこのスペシャルイベントに関して、備忘がてら殴り書いておこうと思う。
タコ
タコは昨年から復活した、まさにレジェンドというべきバンド。私は高校時代から名前を知っていたが、音源を聞けたのは大学に入ってから。すでに発売から四半世紀が過ぎているのに忘れ去れていないこの不思議な盤に取り憑かれた。
ネットを探してもろくに情報もなく、山崎春美氏のルックスもまともに分からない中だったので、とにかくどんどん神格化されていった。CONPASSとganja/acidでのライブ映像は一応チェックした。
そしてついに、8.11目撃することができた。
いきなり多門氏らの謎の演劇から始まる。ロリータな恰好をしている女性が一人。後に鎖帷子レイコさんという方だと知るが、おそらくこの人がロリータ順子のポジションで歌うのだろうな、と想像がついた。
寸劇が終わると「タコ」として山崎春美氏が登場。まるでざこば師匠のような風貌で、何かの雑誌で見た鈴木いづみの隣にいた男とはまったく風貌がことなった。まあそんなのはどうでもいいんだけれど。それでもその目は鋭かった。ジーンズに真っ白のTシャツ、素敵だと思った。
名曲「仏の顔は今日も三度までだった」で始まる。しっかりした音できくとこうなるのか、という感じ。春美氏の声もいいし、鎖帷子レイコさんも雰囲気があって、声もキンキンするしドスも聞いて素敵。
「嘔吐中枢は世界の源」のあと、EP-4の佐藤薫氏が加わり、「な・い・しょ・の・エンペラーマジック」へ。(そう、ここまでMCは一切なかったな。)曲中のラジオのサンプリングのような部分を佐藤氏が読んでいるのだが、前半はほとんど聞こえなくて残念。佐藤氏、出番少なかったなぁ。
そして、スターリンのTシャツを着たJOJO広重氏が加わり、ガセネタの曲から「宇宙人の春」、「雨上がりのバラード」と「父ちゃんのポーが聞こえる」なんかをやったろうか。もう頭がふわっとなっててよく覚えてないけど、とにかく一気にノイズになって荒れて終わって行った。まあこれはこれでスペシャル編成なので良かったけど、個人的にはシンプルなタコの編成で聞きたかった。ガセネタもタコもノイズで盛り上がるというよりはストレートなガレージパンクでズンズン攻めることで快感を生み出すと思うから。というのも途中までの演奏の出そうと思っても出せない80s感が素晴らしかったからだ。なんだろうあのスネアのスカスカ感。レイコ氏のボーカルも。たまらない。
タコのいいところは、曲が非常にポップなところだ。それでもあのようなステージで観る事には違和感はあったけれど、DOMMUNEでたりする中で少しずつ存在が伝説から現実的になって来て、なんだか面白くなってきた。新作でも出して欲しいと本気で思ってしまったりする。
忠実に既存曲をやっていたのもとにかく驚いた。
きっとネットとかではけっこうきつく叩かれそうな公演だと思ったが、個人的には本当に面白かった。鋭利だった。最高でした。
非常階段
初見だったけど、微妙。あんなハッピーな感じで演奏するのね。
JOJO氏の迫力あるMCでスタート。テルミンをやってたのはナスカ・カーの中屋氏っぽかったな。テルミンがあると不思議な感じ。POPになる。インキャパのライブ以来の生コサカイ氏も観れた。
でもなんだか音響が悪かった気がする。JUNKO氏のシャウトがろくに聞こえなくて残念。もんじゅくんの登場も個人的には微妙。完全即興で最後にピョンピョンはけて行くJUNKO氏が可愛かった。
短かったのはいいんだけど面白くなかった。「甘えんなー!もっとやれー!」とか罵ってた連中がいた。
salyu×salyu
一番ライブの完成度が高かったのでは。
よくこんなライブできるなってくらい、とにかく視覚的にも音楽的にも構成が工夫された世界。本当に酔いしれた。小山田氏のギターは相変わらずいいし、LITTLE CREATURESの鈴木氏もベースもかっこ良かった。痺れた。
何よりはSalyu自身のボーカルセンスだ。先日のap bankで拝見したばかりではあるが、やはり声量と声質の良さに関しては個々最近の歌手の中ではピカイチの気がする。
アルバムを聞いてサンプリングだと思っていた部分等がすべてナマで再現されていて、人力のすごさというか、初めてバトルスを生で見たときのような感激があった。
不失者
もとゆらゆら帝国の亀川氏が加入していたのを知らなかった。ドラムはkiyasu氏。小沢氏のバージョンの音源は持っているが、この編成では初めて。
灰野氏のギターはとても尖ってたし、満点だった。しかしその他の演奏がなんともつまらなく、間延びした印象。あくびが出てしまった。灰野氏のソロ、あるいは不失者以外のユニットで見たい。
まあ幕張メッセで灰野氏見る事なんてないだろうから、OKOK。
小室哲哉
さすがに疲れて眠ってしまった。壁で寝てたら足を蹴られて目覚めると「GET WILD」が。ミーハー連中が踊りまくっていた。
まあこのようなアンセムはいいにしても、その他の演奏を寝ながら耳だけで聞いていたわけだが、かなり良かったと思う。小室氏のシンセに歌詞がついていないというのが不思議な感じがするが、いちいちブレイクやグルーヴが日本語に聞こえてくるときがある。魔力だな。
七尾旅人
眠過ぎてマニュエルを見るのを断念したので、最後という意気込みで聴く。
TK好きは知っていたが、いきなり「I'm Proud」「Be Together」のカバーとぶっ飛ばして来た。
最近みんなライブが良い良いと口を揃えて言うが、前作が出た頃のライブの方がずっと良かった気がしてならない。なんとなくアコースティック過ぎる路線は私には退屈。
それでも途中の「サーカスナイト」から予想外にDorianが出て来てから、グっとテンションが上がり、面白くなって来た。でも「どんどん季節は流れて」までテッパンの流れで来るが、なんだろう。何か足りない感じがしてならない。
最後の「Rollin' Rollin'」、リハでトラックが流れてたので、またカラオケで歌うのかと思ったら、こちらもまさかのやけのはら本人登場!これには私も「おォー!!」と歓声を上げざるを得なかった。そうだよ、よく考えたらゲストじゃなくて初めからFREEDOMMUNEにはクレジットされてたし! 皆で大合唱をして終了。間違いなくこの日のハイライトだったな。本当に最高でした。
ああ、あと、新作がとても良かったので、新作からもっと聞きたかった。
<総評>
マニュエル・ゲッチング氏が夏目漱石に見えたのはわたしだけ?
夏目漱石の脳みそは別になんもおもしろくなかったけど、全体としてはマジで楽しかった。
幕張メッセというポップなステージで見ることがおそらく相当レアであろう人たちばかり。
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