7/13/2014

NANO-MUGEN FES. 2014

・KANA-BOON
若手で一番勢いがある、というコピーもよく耳にするバンド。昨年度の「CDショップ大賞」に2作もエントリーしていて、プッシュされているのは間違いない。私も1stアルバムは借りました。TSUTAYAで。本公演のフロント・アクトではあるものの、会場の熱気はマックス、アリーナも満員で、とにかく勢いがあった。「僕らを見に来ているお客さんもたくさんいると思うけど、素敵なバンドがたくさん出るので最後まで楽しんでって下さい」という主催者的な発言に度肝を抜かれた。ボーカルのビジュアルも、MCも溌剌としていてブレイク必至でしょう。

・It's A Musical
いい!事前にネットで聞いて予習はしていたものの、結構インパクトあった。キーボード&ボーカルの女の子とドラムスの兄ちゃんの、欧州の2人組。トイ・ポップと言われそうなチープでシンプルな構成で可愛らしい音を鳴らす。片方がスウェーデン出身(どちらの人かは分からない)とのことで、スウェディッシュ・ポップ色を持ちながらも、不思議と由緒正しいフレンチ・ポップの匂いがする。そんな売れてるわけではないと思うんだけど、プロモーション次第では大化けする気がする。好き。


・Tegan And Sara
カナダの双子がギター、ダブルボーカルを努める2人組ユニット。カナダのFLIP-FLAP、てなところか? カナダ発で有名なミュージシャンって、Arcade Fireみたいなちょっとウィットのきいたロックか、あるいはとことん大衆的なポップスに大別される気がして面白い。こちらは後者で、ボスボス腹に突き刺さるシンプルなドラムが特徴的なシンセポップ。ボーカル抜きで(なんて言ったら失礼だが)も、充分に楽しめる演奏だった。

・グッドモーニングアメリカ
KANA-BOONと同時デビューと聞いていたから若手かと思っていたら、もう三十路越えしてて、下積み長いんだなーと思ってしみじみとした気持ちで見てしまった。NICO Touches the Wallsと同じようなメロディーが印象に残るポジティブなポップロック。2000年代前半はナンバーガールとスーパーカーの影響下にあるバンドが多かったが、いつからでありましょう—おそらくアジカン・ストレイテナー・ART-SCHOOLの御三家辺りからオルタナ色が消え、きれいで伝わりやすいメロディーの日本語のロックが、「売れる」ロックバンドの絶対条件となったのだろうな。となると、ここにこのバンドが招かれているのは必然か。ベーシスト「たなしん」さんの面白パフォーマンス、声の良いギタリスト、真摯なボーカル。バランス良い。

・Ropes
後にストレイテナーに移籍する日向氏、大山氏を嘗て擁していたART-SCHOOLの戸高氏と、on button down、KARENのアチコさんによるユニット。ギター1本とボーカルだけなのにこの重厚な感じは、流石アチコさん。生脚も美しかった。

・ストレイテナー
主催者アジカンの盟友、ストレイテナー。出演は毎年恒例らしい。ヒットナンバーを凝縮した素敵なセットリストの中で、デビュー曲「TRAVELING GARGOYLE」を初めてナマで聞けたのでもう大変満足。やはり演奏が巧い、特に日向氏。こうしてフェスで聞くと一層感じる。この切れ味は流石。後で知る事になるのだが、シークレットゲストでSOIL&"PIMP" SESSIONSが出るならば、「From Noon Till Dawn」はタブゾンビの飛び入り付きで見たかったな、と思った。あと、NANO-MUGENコンピ盤に入ってる「翌る日のピエロ」は演奏せず。聞きたかったのに…。

・Owl City

・Hi, how are you?
初見。odd eyesにも所属していた男の子と、素朴な女の子の2人組。ちょっと遅れて始まったのは、MCにあった「日産スタジアムと横浜アリーナを間違えた」からか? ギター&ボーカルの原田さん、巨漢だし、おれの昔の友達に似てるし、何だかただ者じゃない!のは間違いない。オザケンをちょっとマッチョにしたような歌い方が素敵。

・くるり
とにかく良かった。くるり最高。
くるりはバンドアンサンブルという点において、今絶頂期なのだろう。
くるりもフェス出演が多いので、最近は年に2、3回程見ているのだが、これまでと圧倒的に違う熱を感じた。
恒例の開演前リハでの「ワンダーフォーゲル」から始まり、一曲目「Morning Paper」の美しいアウトロ。この演奏を聞いて、「Philharmonic or die」というタイトルがふっと浮かんでくる。頻繁にライブを見てると、岸田さんの志向が常々変化しているのがよく分かるが、最近はまたこの手の爆音サイケがご流行の様子。
この美しい演奏を提供するのは、ファンファン含む基本メンバーに加え、Boon Boon Satellites等で活躍し、本公演でも硬派なドラミングを聞かせてくれた福田洋子さん、吉田省念さんの抜けた直後から完璧なサポートに入った山本幹宗さん(元The Cigavettes)。ドラムはあらきゆうこさんや元54-71のBOBOさんだったりする事も多く、メンバーはかなり流動的なバンドだが、岸田さんの圧倒的なイニシアチブで奇跡的にバンドの勢いは保たれている。特に「坩堝」まではなかったファンファンの大味なトランペットが、その勢いを下支えしているのは間違いない。最強の布陣だ。
岸田さんの眼鏡がずり落ちるほど白熱したプレーに次いで、「ワールズエンド・スーパーノヴァ」でちょっとさっぱりしたあと、新曲2曲をぶっ続けで披露。その場でタイトルはよく分からなかったが、ネットで調べると「loveless」と「Liberty & Gravity」。「loveless」、今のくるりにぴったりのタイトル。恒例のチオビタのCMソングだ。そしてMCで先に"なんか変な曲やります"と言い訳した「Liberty & Gravity」、これがとにかく素晴らしい。私の耳がよければもっと鮮明にストーリーが聞き取れたのだろうが、何やら博士が登場するような話が綴られた曲。東洋的な色を添えた轟音の真っ只中、LibertyとGravityという単語が登場するサビのようなところで感極まって思わず涙が出そうになってしまった。(その場では歌詞を覚えていたが、一日経ったら忘れてしまった。年ですね。)くるりも所謂"変な曲"は多いが、ここまで複雑な構成で、色々と曲調が変化するのはまだ聞いた事が無かった。シングルカットされるのかどうか分からないが、これが収録されるであろう新作アルバムが楽しみである。
この語、岸田さんの気遣いで著名なシングル曲「ばらの花」「虹」「東京」で結ばれる。アレンジはちょっとずつされているものの、最近のくるり曲と同じノリで聞けるのはちょっと不思議だ。これだけ多様な種類の曲を出しておきながら、やはり岸田さんには「さよならストレンジャー」から通じて何か一貫したものがある。
「虹」「東京」が最後というのは、別に意識はしてないかもしれないが、先日亡くなった佐久間正英さんとくるりのタッグで生まれた名曲だ。そんな事を考えながら、轟音に包まれて美しく楽しく聞き終えた。ぶっきらぼうなMC。颯爽と帰っていくメンバー。ロックバンドとして鮮やかだった。
「坩堝の電圧」は間違いなく完成度の高い名盤で、くるりの中でも大きなターニングポイントとなる作品であるが、リリース後しばらくしてからその作品からの楽曲は、知る限りライブでは演奏されていない(と思う)。これには岸田さんの色々な思いがあるのだろう。今回のライブを見て、今度のアルバムは「坩堝〜」すら過渡期的な作品だったと思わせてくれるくらいに、スゴイものになると期待している。
尚、今回珍しくアジカン、くるりの共演になったわけですが、私にもアジカンはくるりのパクリバンドだなんて思ってた時期がありました。この二者の関係ってこれまであまり取り沙汰されなかった気がするが、今回の共演そのものや、岸田さんの後藤さんのメガネに関するMCや、ゴッチブログに書かれたくるりへの思い等、興味深いところを知ることができて面白かった。

・The Young Punx
ジュリアナ東京みたいで面白かった。イギリスのm-floみたいな感じか?

・The Rentals
前半の音響が悪すぎて辛かった。ここまですごく音がよくて感動してたのに、勿体無い。後半は何とか持ち直し、1stからの名曲オンパレード。「Friends of P」に私の心が燃え上がる。実は先日のアジカンの周年ライブにもたまたま行っていた私、そこでもマット・シャープを見ている。一年に二回もマットのライブを見ることなど、アジカンファン以外にはできまい。
Ashのティム・ウィーラーがギターを担当していたのもビックリ。サプライズでAsh「Girl From Mars」も聞けた。世代的にはツボだが、20代前半の子はAshの栄光の時期を知らないかも。まったく名前を聞かなくなってしまったAshだが、カムバックを期待したい。てなわけで無駄に音が粗かったのが勿体無いが、いいものを聞けた。

・ASIAN KUNG-FU GENERATION
アジカン。通好みの曲を織り交ぜつつ、「リライト」「君という花」等の名曲もジャンジャンやる。アンコールではマット・シャープ、ティム・ウィーラーも登場しWeezerカバーも。
後藤さんのMCは癖あるし敵を作りやすいだろうけど、本当に純粋な人なんだろうなと思う。主張を通す為に敢えて嫌われ役を買って出てる、と評した記事を何かで見たが、Twitterでも噛み付きやすいところを見ると、そんな次元でもない気がする。


というわけで、初めて来たナノムゲンでしたが、涼しいし、混みすぎてないし、座席はしっかりあるし、駅近だし、メシはうまいし、非常に環境が整っていて素晴らしいフェスでした。

とにかく、くるりがよかった!
くるり!
くるりのリスナーとしてはTEAM ROCK〜アンテナの頃がピークで、最近あまり深く聞いてなかった。
しばらくくるりをもう一度デビュー時期から聞き直す生活になりそう。
すごいぞ、くるり。

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