9/13/2012

FREEDOMMUNE ZERO

静岡からはるばる幕張まで、車でタイトスケジュールで行って来た。

というのも、すべてはあの伝説の「タコ」がスペシャルバージョンで登場するからである。

30時間ほど眠らない中体験したこのスペシャルイベントに関して、備忘がてら殴り書いておこうと思う。


タコ

タコは昨年から復活した、まさにレジェンドというべきバンド。私は高校時代から名前を知っていたが、音源を聞けたのは大学に入ってから。すでに発売から四半世紀が過ぎているのに忘れ去れていないこの不思議な盤に取り憑かれた。

ネットを探してもろくに情報もなく、山崎春美氏のルックスもまともに分からない中だったので、とにかくどんどん神格化されていった。CONPASSとganja/acidでのライブ映像は一応チェックした。

そしてついに、8.11目撃することができた。

いきなり多門氏らの謎の演劇から始まる。ロリータな恰好をしている女性が一人。後に鎖帷子レイコさんという方だと知るが、おそらくこの人がロリータ順子のポジションで歌うのだろうな、と想像がついた。

寸劇が終わると「タコ」として山崎春美氏が登場。まるでざこば師匠のような風貌で、何かの雑誌で見た鈴木いづみの隣にいた男とはまったく風貌がことなった。まあそんなのはどうでもいいんだけれど。それでもその目は鋭かった。ジーンズに真っ白のTシャツ、素敵だと思った。

名曲「仏の顔は今日も三度までだった」で始まる。しっかりした音できくとこうなるのか、という感じ。春美氏の声もいいし、鎖帷子レイコさんも雰囲気があって、声もキンキンするしドスも聞いて素敵。

「嘔吐中枢は世界の源」のあと、EP-4の佐藤薫氏が加わり、「な・い・しょ・の・エンペラーマジック」へ。(そう、ここまでMCは一切なかったな。)曲中のラジオのサンプリングのような部分を佐藤氏が読んでいるのだが、前半はほとんど聞こえなくて残念。佐藤氏、出番少なかったなぁ。

そして、スターリンのTシャツを着たJOJO広重氏が加わり、ガセネタの曲から「宇宙人の春」、「雨上がりのバラード」と「父ちゃんのポーが聞こえる」なんかをやったろうか。もう頭がふわっとなっててよく覚えてないけど、とにかく一気にノイズになって荒れて終わって行った。まあこれはこれでスペシャル編成なので良かったけど、個人的にはシンプルなタコの編成で聞きたかった。ガセネタもタコもノイズで盛り上がるというよりはストレートなガレージパンクでズンズン攻めることで快感を生み出すと思うから。というのも途中までの演奏の出そうと思っても出せない80s感が素晴らしかったからだ。なんだろうあのスネアのスカスカ感。レイコ氏のボーカルも。たまらない。

タコのいいところは、曲が非常にポップなところだ。それでもあのようなステージで観る事には違和感はあったけれど、DOMMUNEでたりする中で少しずつ存在が伝説から現実的になって来て、なんだか面白くなってきた。新作でも出して欲しいと本気で思ってしまったりする。

忠実に既存曲をやっていたのもとにかく驚いた。

きっとネットとかではけっこうきつく叩かれそうな公演だと思ったが、個人的には本当に面白かった。鋭利だった。最高でした。



非常階段

初見だったけど、微妙。あんなハッピーな感じで演奏するのね。

JOJO氏の迫力あるMCでスタート。テルミンをやってたのはナスカ・カーの中屋氏っぽかったな。テルミンがあると不思議な感じ。POPになる。インキャパのライブ以来の生コサカイ氏も観れた。

でもなんだか音響が悪かった気がする。JUNKO氏のシャウトがろくに聞こえなくて残念。もんじゅくんの登場も個人的には微妙。完全即興で最後にピョンピョンはけて行くJUNKO氏が可愛かった。

短かったのはいいんだけど面白くなかった。「甘えんなー!もっとやれー!」とか罵ってた連中がいた。


salyu×salyu

一番ライブの完成度が高かったのでは。

よくこんなライブできるなってくらい、とにかく視覚的にも音楽的にも構成が工夫された世界。本当に酔いしれた。小山田氏のギターは相変わらずいいし、LITTLE CREATURESの鈴木氏もベースもかっこ良かった。痺れた。

何よりはSalyu自身のボーカルセンスだ。先日のap bankで拝見したばかりではあるが、やはり声量と声質の良さに関しては個々最近の歌手の中ではピカイチの気がする。

アルバムを聞いてサンプリングだと思っていた部分等がすべてナマで再現されていて、人力のすごさというか、初めてバトルスを生で見たときのような感激があった。


不失者

もとゆらゆら帝国の亀川氏が加入していたのを知らなかった。ドラムはkiyasu氏。小沢氏のバージョンの音源は持っているが、この編成では初めて。

灰野氏のギターはとても尖ってたし、満点だった。しかしその他の演奏がなんともつまらなく、間延びした印象。あくびが出てしまった。灰野氏のソロ、あるいは不失者以外のユニットで見たい。

まあ幕張メッセで灰野氏見る事なんてないだろうから、OKOK。


小室哲哉

さすがに疲れて眠ってしまった。壁で寝てたら足を蹴られて目覚めると「GET WILD」が。ミーハー連中が踊りまくっていた。

まあこのようなアンセムはいいにしても、その他の演奏を寝ながら耳だけで聞いていたわけだが、かなり良かったと思う。小室氏のシンセに歌詞がついていないというのが不思議な感じがするが、いちいちブレイクやグルーヴが日本語に聞こえてくるときがある。魔力だな。


七尾旅人

眠過ぎてマニュエルを見るのを断念したので、最後という意気込みで聴く。

TK好きは知っていたが、いきなり「I'm Proud」「Be Together」のカバーとぶっ飛ばして来た。

最近みんなライブが良い良いと口を揃えて言うが、前作が出た頃のライブの方がずっと良かった気がしてならない。なんとなくアコースティック過ぎる路線は私には退屈。

それでも途中の「サーカスナイト」から予想外にDorianが出て来てから、グっとテンションが上がり、面白くなって来た。でも「どんどん季節は流れて」までテッパンの流れで来るが、なんだろう。何か足りない感じがしてならない。

最後の「Rollin' Rollin'」、リハでトラックが流れてたので、またカラオケで歌うのかと思ったら、こちらもまさかのやけのはら本人登場!これには私も「おォー!!」と歓声を上げざるを得なかった。そうだよ、よく考えたらゲストじゃなくて初めからFREEDOMMUNEにはクレジットされてたし! 皆で大合唱をして終了。間違いなくこの日のハイライトだったな。本当に最高でした。

ああ、あと、新作がとても良かったので、新作からもっと聞きたかった。


<総評>

マニュエル・ゲッチング氏が夏目漱石に見えたのはわたしだけ?

夏目漱石の脳みそは別になんもおもしろくなかったけど、全体としてはマジで楽しかった。

幕張メッセというポップなステージで見ることがおそらく相当レアであろう人たちばかり。

3/26/2012

猫ひろし / 五輪出場


今ほど、ドラびでおの一楽さんのツイートで知りました。
猫ひろしという存在は一般的にはそこそこ売れてる芸人という認識でしょうが、ロックの世界では灰野敬二とも知り合いという意外な一面を持ち合わせています。
昨年の夏に名古屋の千種で観たライブ、猫ひろしの一発芸のようなインプロヴィゼイションが忘れられません。あれはもはやお笑いではなくロック音楽でした。
灰野さん、一楽さん、クラムボンmitoさんのノイズセッションを、オサレスーツを着て真剣なまなざしで見つめ聞き入る猫さんを忘れられません。
いっぽうでスギムさんとチ○コギリギリのアホ芸も忘れられず、とにかくつかみ所の無い凄い人だなと思います。
その猫さんがついにカンボジア代表として、五輪デビュー決定!
何となくやってくれるような気がしていました。
本当に真摯で実直な人なのでしょう。
ただ破天荒なだけではありません。
心からこういうの応援できる芸能人てそうそういないですよね。
一世一代の芸ですね。楽しみです。

The Avalanches / Since I Left You


The Avalanchesが売れてからもう10年以上経つ、ということを、つい本日iTunesがシャッフルでかけてくれた「Since I Left You」を聞いて思い出しました。
セカンドの噂はずっと流れていますが、なかなか出そうにありません。
某説によれば、サンプリングネタの二次使用の交渉で時間がかかっているとか。
でもそんなこと聞くと、彼らの音へのこだわりが強く感じられて微笑ましい気持ちになります。
このアルバムがサンプリングだけで作られているなんて最初は知りませんでした。
ラジオで「Since I Left You」を聞いて、単純によい曲だなと感じで好きになった次第です。
後からカラクリを知ってびっくりしました。
Avalanches以降、多数のバンドが出て来てダンスロック、エレクトロニカ、ブレイクビーツ等の電子音楽系のロックが一気に台頭し、またサンプリングが様々なガジェットやツールを通じて庶民のものとなりました。
そう思うと本当に時代の幕開けだったのか。
文化はよく10年周期くらいで括られることが多いですが、きっと自作もそんなわくわくに満ちたアルバムとなると信じています。
尚、PVも曲も最高です。カラクリなんて知らなくても楽しめる。素晴らしいです。
The Avalanches - Since I Left You

Gallops / Miami Spider


ウェールズのポストロックバンドGallops。知名度はまだ低いですが、昨年Kitsuneのコンピに収録されたこと、そして今年のKAIKOOフェスに出演するということで、少し話題になっているようです。
サウンドはウェールズらしくない、アメリカンポストロックという感じ。言ってしまえばバトルス以降のバンドです。
きっと売れるでしょうが、売れた後もバトルスとの比較をされる運命にあるでしょう。この名曲「Miami Spider」で聞ける抜群の音選びのセンスと、踊れるロックとしての強みがどう今後開花していくか、といったところです。
まだアルバムは未発売、EPのみです。
めちゃくちゃ期待です。
Gallops - Miami Spider

3/25/2012

うつくしきひかり / ともだちを待っている

Alfred Beach Sandal、片想い、cero等、若手シーンを盛り上げている一連のバンドに密かに広く普く密接しているMC.sirafu氏と、ザ・なつやすみバンドで活躍する中川理沙さん(とても奇麗な方!)の、ピアノとスティールパンという異色の組み合わせのユニット=うつくしきひかり。
名前の通り、どこか懐かしい幼い頃に感じたようなキラキラした無垢なうつくしさを音に閉じ込めたようなサウンド。
PVもまさにそんな雰囲気ですね。
なんか最近じわじわと名前を聞く機会が増えて来て嬉しい限りです。
私がスティールパンの音が好きだというのもあるのですが、非常にキモチよい一曲となっています。
これからの季節にはぴったり。
うつくしきひかり 「ともだちを待っている」

3/09/2012

The Strokes / I'll Try Anything Once


実は、平賀さち枝さんのツイートで知った曲。アルバム未収録です。
デモ音源のようですが、デモならではの粗い音と、ジュリアンの密着した囁くようなセクシーな歌い方が、マスター曲を凌駕する完成度となっている曲です。ここまでスローな曲は他のストロークスの曲を聴いても意外とないかもしれません。
シンプル・イズ・ベストというかロックというか。なんとも純情な曲です。
The Strokes - I'll Try Anything Once

3/04/2012

Liturgy / Aesthethica


ブルックリンのブラックメタルバンドLiturgy(リタージー、リタギー、リタジーと色々勝手に読まれてる?)のセカンド。
ブラックメタルはBurzumかMayhemくらいしか聞いた事がないので、文脈の中でどういう存在なのかは分かりませんが、ひたすら聞きやすいと思います。単純にメロディーはポップだからでしょうか。
エモーショナルで、曲によってはメタルを脱線しかなり実験的なことをしています。ブラックメタルの皮を被ったエクスペリメンタル。そんな印象です。発売はなんとThrill Jockeyからということで、なるほどちょっと他のバンドとは毛色が違うのも納得。ハードコアと音響・エレクトロニカの歴史を再総括するような存在ですね。
この「Red Crown」が一番聞きやすいでしょうか。
Liturgy - Red Crown

Elvis Costello with Burt Bacharach / Painted From Memory


バカラックとコステロという、どう考えてもハズれる理由の無い2人による名作。どの曲を聴いても素晴らしく深みがある、まるでベスト盤のような印象です。
コステロの声は、ミスチルの桜井さんのように好き嫌いあると思いますが、愛の歌を歌わせたらやっぱりピカイチですね。字余り的な歌い方も迸る感情がビンビン伝わってきて沁みます。まぁ、こんなアダルトな恋愛はしたことありませんが・・・。
メロディー、ボーカルが秀逸な中、アレンジや演奏も非常にムーディーで完成度が高過ぎます(「Such Unlikely Lovers」等)。
AORってこういうコトなんですね。
何となく両者とも得意分野を生かし合い、「俺が俺が」というエゴが出ていないのが素敵な理由なのかな。本当に尊敬し合った関係なのでしょうね。
まあとにかく「良い」という印象のみという曖昧なレビューですが、誰が聞いても好感を持ちそうな、普遍的名ラブソングたちです。
一番素敵なのは、初期コステロみたいなテンションを内包したこの曲。タイトルも素敵。
Burt Bacharach & Elvis Costello - The Sweetest Punch

3/03/2012

水中、それは苦しい / 農業、校長、そして手品


水中のアルバム「手をかえ品をかえ」の中の1曲。
水中のことはあまり詳しくなく、唯一持っているこのアルバムの中でもほとんどこの曲しか聞きません。
この曲だけは妙なインパクトがあり、なかなか頭から離れません。
特にこのPVと合わせて見ると尚強烈です。
一度だけ水中のライブを生で見たことがありますが、水中のライブでの疾走感ややるせなさ、一生懸命なふざけ感など、バンドの特徴を旨く表した名作だと思います。
水中、それは苦しい「農業、校長、そして手品」
このPV、豊田道倫さんや前野健太さんのPVでもお馴染みの松江哲明監督ですね。
作風がかなりブレないというか、泥臭さがしっかりした背骨になっていて素晴らしい。
というか映像見ただけで何となく分かりますね。
とにかく歌詞はふざけているのだけれど、コミックバンドというわけではなく、どことなくあきらめきれないかっこよさが残されていて、ただ単に奇を衒っているわけでないという奇跡的な均衡点にいるのがこのバンドの良さだと思います。
またジョニー大蔵大臣さんもソロでこの曲をやるようで、ドラム&バイオリンが入らないこちらのパターンもなかなかよいですね。
小さなライブハウスにはあまり合わなそうな感じもしますが。
111127よるのひるねでジョニー大蔵大臣ライブ.mpg
http://www.youtube.com/watch?v=GjxiFZNt0dU

3/01/2012

Pollen / Chip


若い頃はメロコア、パワーポップ等を好んで聞いていましたが、最近はこの類いを聞くのは少し気恥ずかしい。
当時のCDのほとんどは棚の肥やしになってしまっていますが、このPollenのCDだけはときどき聞いてしまう。
初めてPollenを聞いたのはHusking Beeとのスプリット盤「ini Split e.p.」であったと思います。
当時はHusking Beeが好きだったものの、アルバムを買う金もなく、比較的安価であったこのスプリットシングルを購入。
もちろんハスキンもイイのですが、もう相方のPollenにも惚れいってしまうわけです。
(というか当時私はおそらくスプリット盤の意味等分かっておらず、ハスキンのシングルだと思っていたと思う。)
そこから名古屋は千種のレコード屋へ行き、たまたまこの「Chip」が置いてあったのを見つけて勝手に運命を感じて購入。
死ぬほど聞きまくりました。
この頃からエモといわれるような音楽も流行り出しましたが、どんなエモーショナルなのを聞いてもこのPollenに勝ると感じたものはありません。
強引に涙を誘うJ-POPとは対照的に、じわじわと自然に涙腺が緩むように思います。
例のスプリット盤にも入っていて、且つ「Chip」のハイライトにもなっている「Girls Love Robots」から是非。
イントロ聞いただけで涙ものですね。
Pollen - Girls Love Robots
こうやって見るとジャケットも安っぽいし素っ気ない、いかにも大衆的なアメリカンロックだったんだな、と思うと、尚更に愛着が湧いてきます。

2/29/2012

Air Tycoon / Winter Purple

air-tycoon-winter-purple.jpg
Joe GarciaによるAir Tycoonのファースト。
知名度はかなり低いためあまり情報が集まらず、かなり匿名性の高いユニットのイメージで聞いています。
サウンドは所謂チルウェイヴの類いですが、その中でも音のメリハリが弱く、かな〜りゆる〜くチルチルとしてます。
ただ何か揺さぶられるような何かがあるので、是非聞いてみて頂きたいと思います。
といってもAmazonでは買えないので、レコード屋さんですかね。
簡単に作れそうなインディー感溢れると感じる一方で、細かい音に妙な仕込みがしてある感じがして、なんだか気になるのです。
Air Tycoon - Soder

2/27/2012

Hawaaii / Flower

[youtube http://www.youtube.com/watch?v=frrXi4jBZaI&w=560&h=315]
韓流ブームですが、韓国のマニアックな部分は意外とメディアには拾われていないかと思います。
そんなインディーシーンで活躍するのがこのデュオHawaaii。
ハワイ? 読み方もわかりませんが、デュオという情報だけ。
聞いてると韓国語の特異な語感とアコースティック音のミスマッチがツボにはまります。
売れ線の普段聞く韓国語の音楽はダンス系ポップですからね、なんか新鮮です。

Aspidistrafly / I Hold a Wish for You


名古屋のレコード屋で見つけた一枚。
シンガポールの男女デュオAspidistrafly。
幻想的でアコースティックなサウンド。
シンガポールの音楽シーンというのをまったく知らないが、とくにアジアンな雰囲気はないものの、単なるフォークではなく異国情緒を感じさせる節がある。
単なるカフェ音楽でもなく、フィールドレコーディングのような要素もあり、アンビエントって感じもする。
いずれにせよ、顔も分からないし、どうやってこの音を再現するのか気になるので、ライブを見てみたいユニットです。
部屋でかけているとものすごい浮遊感があります。
この次の作品はパッケージが横長サイズというイレギュラーなもので、レコード屋では皆目が行ってしまうのではないでしょうか。
装丁は非常に美しいです。
aspidistrafly - Moonlight Shadow

The Caretaker / An Empty Bliss Beyond This World


「管理人」ことThe Caretaker。
この人の経歴等は面白いですが、他のサイト等に譲ります。
内容は単純な言葉を使えばローファイなのですが、20世紀前半の映画や場末のスナックで、どこからともなく流れてくるような哀愁漂うクラシックジャズのレコードを、1世紀後の今どこからともなく発掘して再生しているような、そんな音楽です。
ほぼ全曲に亘って表層に流れる古ーいアナログレコードの溝のノイズは、本当にこのThe Caretaker本人が所有していた当時のレコードなのかも、という妄想を膨らませてくれるほどです。
リバイバルと云われるジャンルはありますが、またこれは全く違って、再現はではなく贋作をつくるような、せっかく作った音を実に変態的に崩してリアリティーを出して完成させるという異様な制作スタイルになると思います。
私個人は、戸張大輔やこのThe Caretaker等を聞くとどうも古代の音楽のような感じがして、廃墟や遺跡を見るときのような快感を覚えるのです。
The Caretaker / Camaraderie at arms length
The Caretaker - An Empty Bliss Beyond This World

1/18/2012

奥田民生と前野健太

ビビアン・スーがふと恋しくなり、YouTubeでブラビの「タイミング」を聴いてたら、関連の動画に奥田民生のカバーが出てきた。
聴いてみれば、ブラビの「タイミング」の民生カバーである。
ひとり股旅のライブ映像っぽい。
最初歌い出しで観客が「え?」という反応で笑っているが、真剣に歌う民生にだんだんとそれらの声は消されて行く。
これを見て、前野健太が名曲「ファックミー」を(おそらく)初披露したときの映像を思い出した。
同様に「ファックミー」という極端な歌詞に笑う観客。
冷たい眼をして歌い放ち続けるマエケン。
しつこく笑う者もいるが、唄で説き伏せるように全身全霊で歌うマエケン。
やがて皆聞き入る。
なんのことはないが、思い出したので貼ってみました。
ネタっぽくもある部分と、シリアスな部分、そしてこの笑いを想定している冷徹さ。
前野健太さんの特徴をうまく出した映像だな、と思います。
前野健太 / ファックミー
前野健太『FUCK ME』
奥田民生 / タイミング
タイミング ブラックビスケッツ カバー 奥田民生

1/17/2012

Stephen Malkmus And The Jicks / Stick Figures in Love


相変わらずヘロヘロな感じだけど、Pavement〜ソロ開始時代より生き生きしてるように感じる。
この曲が収録されているアルバム「Mirror Traffic」のプロデュースはあのBeckです。
元祖ローファイ同志が再タッグ!なんて言われそうだけど、しかしながら、再浮上してくるまでの間に巻き起こったフリーフォークブームの影響はあまり感じられず、ゴーイングマイウェイな素振りに好感が持てました。
この曲にあるようなキラキラしたヨボヨボギターがやはり売りでしょうか。
もう20年選手以上なんですね、信じられない。
そういえばPavementって再結成してたな。
Stephen Malkmus And The Jicks-Stick Figures in Love

琴桃川凛メイキングラブ / 愛して欲しい

最近めっきり名前を聞かなくなってしまった連続射殺魔の琴桃川凛さん。
B級アニソンのようなメロディーにだんだんとねっとりしたボーカルとまさに80sな演奏が乗っかる。
何が良いって、名前とジャケのまんまの曲なのが良い。
琴桃川凛 愛して欲しい (sound only)

1/16/2012

The Field / Looping State Of Mind


タイトルがまさに、という感じのAxel Willnerによる話題の第三作。
ジャケットは相変わらず素っ気ない。
これでもかというくらいミニマルですが、前作より圧倒的にポップかつ味付けが面白くなり、一気に商業ベースに乗った感があります(いい意味で)。
ただの無機質なループじゃん、という人は何度もヘッドフォンで聴いてみると、胎児の蠢きのような神秘的で上品なオカズ音がたくさん乗っかっていて、有機的なサウンドだと気づくでしょう。

1/09/2012

ventla / miken

SoundCloud等で話題のventla。
宅録ド真ん中のトクマルシューゴ、あるいは宅録に飽きた戸張大輔。
何枚ものアルバムを無償にて配布している現代的なディストリビューションを導入。
まさに「音楽では食って行けない時代」に生まれた、方法論ももちろんその楽曲も現代風の音楽家である。
miken by ventla
またご当人の別ブログ「ピタTブログ」が下記のリンク先にある。
その内容とは、なかなか評価が追いつかない90sのJ-POPのあまり日の当たらない部分に関して。
まさに個人的にツボな所を突かれて、何か必然性を感じた。
ventla氏の芸術感覚自体は特に90年代オンリーではないと思うが、少なからず時代錯誤のイカれた感覚がもつオルタナティブさは共通している。
http://pita-tee.blogspot.com/
にしてもこのブログ更新力から、細かいアートワーク、ウェブサイト管理まで、いったい何をしている人なのだろうとめちゃくちゃ考えてしまう。