8/09/2014

くるり / Liberty&Gravity





くるりの新曲がすごい!ってのは少し前にもナノムゲンの投稿で書いたことですが、遂にMVもリリースされた。もちろんライブと違って迫力のないYouTubeなので魅力は7掛けですが、東京事変の「OSCA」を思い出させる凝った映像に仕上がっている。
いつでも飽きれるほど冒険的なくるりについて、このハチャメチャな今作を「革命的だ」なんていう腐る程出尽くした形容で以て賞賛するのはもったいない。数多のバンドがくるりに刺激されてちょっと変わった構成・メロディーの曲を作ったりするが、それらのうすら寒さと較べてどうだろう、くるりのこの安定感。「坩堝の電圧」は諸事情によりある意味封印された作品であるが、そこで得られた「ごった煮」ロックの突き抜け方が、それ以降の作品に大きく影響し、結果この名曲が生まれているように感じる。
今作の一番の魅力は、変なプログレのようにカオティックな構成の中のそれぞれの節で、絶妙にポップさを捩じ込んでくる岸田繁のメロディー・メイカーっぷりだ。テンポの落ちるCメロのようなパートで、気持ちは高揚し泣きそうになってしまう。先行してリリースされている「Remember me」も収録されたニュー・アルバムを楽しみに待つ。

8/02/2014

The Acid / Liminal


先頃まで梅雨がじめじめと続いていたので、営業車の窓を開けっ放して高速道路を疾走したいところを堪え、湿気が籠もりクーラー音が駆け巡る車内に適切な音楽はないかと探していたところ、The Acidという非常にストレートな名前のユニットに出会った。ジャケットを見ると何となくJames Blakeのファーストに似ていて、ぼやけた音像を可視化したようなあの感じ・・・ああダブステかと察して頂けるかと思う。タイトルを読むと砂原良徳の名作と同じ・・・ああエレクトロニカかと察して頂けるかと思う。

で、まったくその通りで、ミニマル・エレクトロニカ〜チルウェイヴ〜ポスト・ダブステップ辺りを真っ当に消化した、音数の少ないシンプルで気持ちのよい音。でもここまでなら巷に溢れている。The Acidの魅力は声だ。
(そういえば自分で使っていながら言うのも何ですが、「ポスト〜」という表現はホント嘘くさい、というか、愛を感じない。テキトーな感じがしてしまいますね。)

このユニットのボーカルを務めるのはオーストラリアで活動するSSW、Ry X氏。Bon Iverのような消え入りそうな儚い美声の持ち主であり、相当な技巧を感じさせるが、今作ではその有り余る力量を恐ろしく控えめに抑えて収録されているように感じる。それゆえにミニマルなトラックに乗っかるこの濃厚に凝縮された声が中毒性を持ち、梅雨で滅入った気分を刺激する。

個人的に一番好きな「Creeper」、これを聞いて頂ければハマって頂けるかと思う。現代の「Warm Leatherette」になり得る名曲だ。

Ry X以外のメンバーもAbleton Liveの開発メンバーや著名プロデューサーが関わっており(私は存じ上げなかったが)、才人の集まりだそう。この夏、ブレイク必死?