2/13/2016

Pinegrove / Cardinal




ポスト・エレクトロニカやネオ・ネオ・ソウル、ポスト・ポスト・パンク(そんな括りはないが)のような、亜流・嫡流の複雑化した流行りの音楽を聞いていると、定期的にシンプルでピュアな音楽に惹かれる時が来る。
昨年でいうとTobias Jesso Jr.やCourtney Barnettなんかがまさしくそんな音楽だったと思うが、今年は瑞々しさに溢れたPinegroveだ。
名前しか知らなかった(ダサい名前であるが故に偶々覚えていた)が、聞いてみればイメージと違ってかなりエモ系のロックである。それもそのはず、リリースはエモの名門「Run For Cover」からであった。
エモってそもそもなんやねん、という話はひとまず置いておき、ただのエモではそこまで琴線に触れることもないが、彼らの強みは妙な哀愁だと思う。Drive-By TruckersやCounting Crowsのような正統のサザン・ロックやアメリカン・ロック・バンドが醸し出すあの感じを持っている。だから何が新しいってこともないんだけど、アメリカの王道ロックが好きな人たちの中には共感してくれる人も多いはず、と思って書いてます。
因みに彼らの出身はニュージャージー州で、同州といえばReal EstateやTitus Andronicusなどオリジナリティの高いバンドも多く、またThursday、Gates等、ポスト・ハードコア/エモ系の聖地でもある。先述の哀愁も含め、独特の情趣はその土壌に由来するものだろうか。
結びに、なんとこのアルバム、Bandcampでたった5ドルから購入可能だ。その他EPなども1ドルから。Apple Musicでも聞けるが、敢えてこそ、是非に。

Pinegrove / Cadmium


Pinegrove / Old Friends

2/11/2016

Suede / Night Thoughts



Suedeの新作は初期作と同じくプロデューサーがEd Bullerということで古参ファンにも概ね好評なようである。
「バーナード・バトラーいなくてもええんや」論者で「Coming Up」も大好きな私にとっては、初期の芳醇なメロディーやギターの風合いはそのままに、より技巧派になった後期の要素も加わり、このバンドのいいとこ取りをしたような素晴らしいアルバムだ。
ブリット・ポップの終焉時にはメディアでは散々にボロクソ書かれて時代遅れの耽美派バンドといった扱いだった気がするが、そのスタイルを貫いて早20年近くが経ち、半ば再評価にも近い形で昨今のSuedeがある。耽美派と雖も4ADの美学とも異なり、気づけば他に意外とフォロワーもいない孤高のバンドになっていた。
ブレットは前作「Blooodsports」も大変気に入っているようで、復活後の路線に迷いはないようだ。私より下の10〜20代からしたら、"昔売れてたけどよく知らないバンドが復活したらしい"という感覚だろうが(自分にとっては15年前のNew Order「Get Ready」がまさにそんな感じ)、そんな人達にも充分アピールできる新Suedeのエッセンスの詰まった作品となっている。

Suede / Like Kids


Suede / Outsiders