8/02/2014

The Acid / Liminal


先頃まで梅雨がじめじめと続いていたので、営業車の窓を開けっ放して高速道路を疾走したいところを堪え、湿気が籠もりクーラー音が駆け巡る車内に適切な音楽はないかと探していたところ、The Acidという非常にストレートな名前のユニットに出会った。ジャケットを見ると何となくJames Blakeのファーストに似ていて、ぼやけた音像を可視化したようなあの感じ・・・ああダブステかと察して頂けるかと思う。タイトルを読むと砂原良徳の名作と同じ・・・ああエレクトロニカかと察して頂けるかと思う。

で、まったくその通りで、ミニマル・エレクトロニカ〜チルウェイヴ〜ポスト・ダブステップ辺りを真っ当に消化した、音数の少ないシンプルで気持ちのよい音。でもここまでなら巷に溢れている。The Acidの魅力は声だ。
(そういえば自分で使っていながら言うのも何ですが、「ポスト〜」という表現はホント嘘くさい、というか、愛を感じない。テキトーな感じがしてしまいますね。)

このユニットのボーカルを務めるのはオーストラリアで活動するSSW、Ry X氏。Bon Iverのような消え入りそうな儚い美声の持ち主であり、相当な技巧を感じさせるが、今作ではその有り余る力量を恐ろしく控えめに抑えて収録されているように感じる。それゆえにミニマルなトラックに乗っかるこの濃厚に凝縮された声が中毒性を持ち、梅雨で滅入った気分を刺激する。

個人的に一番好きな「Creeper」、これを聞いて頂ければハマって頂けるかと思う。現代の「Warm Leatherette」になり得る名曲だ。

Ry X以外のメンバーもAbleton Liveの開発メンバーや著名プロデューサーが関わっており(私は存じ上げなかったが)、才人の集まりだそう。この夏、ブレイク必死?

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