7/06/2014

私的2014年上半期音楽作品番付 <洋楽・邦楽>

こんなの自己顕示以外の何モノでもないですが、よいものがたくさんありましたので。


<洋楽>

1. Pains of Being Pure at Heart / Days of Abandon




セカンドと比べて明るめの楽曲が多いものの、ジャケット画のようにどこか退廃的な印象を受ける。ボーナストラックが良いらしいが、私はアナログで買ったため未聴。しかし、アコギが美しい「Art Smock」でゆっくりと始まり、最後の「The Asp at My Chest」で壮大に消え入るように幕を下ろす様は、まるで映画のよう。

間違いなく本人たちは多少意識しているであろうマイブラ要素は、「mbv」プロデューサーによりきっちり整理され、その他のネオアコ等の成分がうまく効いている。

世間の評価は前作に比べていまいち低いようだが、私は圧倒的に心を奪われた。




2. Real Estate / Atlas



こちらのバンドもセカンドが一斉を風靡したパターンであるが、今作でもきらきら、ゆらゆらとギター・ベースが重なり、独特の空気感を生み出している唯一無二の存在。最近めっきり新しい洋楽を聞かなくなってしまったが、このバンドは追っかけ的にずっと聞き続けている。

いわゆるイージー・リスニングという言葉の通り、気負わずともあっさり聞けてしまうが、丁寧に繙けば緻密に計算されたグルーヴが散りばめられていることがよく分かる力作。本当に好きだ!




3. Fennesz / Bécs



なんの予備知識も無しに聞いても、「これはEndless Summerの続編か?!」と分かるほど(実際にそうらしいんですが)、泣けるノイズと、作り出される果敢なく美しいあの空間は、そう、アノ名盤と比肩する内容である。しばらく聞いてなかったのですが、それもあまり情報が入ってこなかったからで、ちょっと地味な存在になっちゃったかなと思っていたら、今作はあらゆる箇所からいい評判が流れ込んできた次第。

かれこれ「Endless Summer」からもう13年も経つのですね。当時フェネスはまだ30代後半、私は高校生になったばかりだったと思う。決して順風満帆な青春時代ではありませんでしたが、夏のBGMの1つとして「Endless Summer」は脳裏に焼き付いており、今作を聞いてもあの頃の騒がしい記憶がざわざわとノイズを纏ってフラッシュバックする。ドローンのようにずっと体内で鳴っていたのか。夏本番はまだちょっと先。




4. Swans / To Be Kind




5. Millie&Andrea / Drop the Vowels




6. Sharon Van Etten / Are We There




7. A Sunny Day In Glasgow / Sea When Absent




8. Owen Pallett / In Conflict




9. Death Grips / Niggas on the Moon




10. How To Dress Well / What Is This Heart?




(番外篇: 国籍不明). ECO VIRTUAL / ATMOSPHERES 第2




というワケで、すっかり流行に乗っかったランキングですが、色々なメディアを駆使して、新しい音楽にたくさん触れられた半期でした。1〜3位までは期待して待っていた作品だったのでリリース自体がうれしいものですが、内容も非常に良かったです。
Swansは復活してから評判いいですが、過去作より個人的には好きなところも多いです。パっと聞いて最近のインディーでは無かった音なので、非常に新鮮です。ところどころNYのニューウェイヴの黎明期を思わせる演奏が入ったりするので気持ちがいい。ブレないバンドです。7位、10位はまだちゃんと聞けていないんで低めにしてますが、傑作の予感がしてます。しかしジャケを並べてみると、なんだかモノクロが多いですね。



<邦楽>

1. スカート / サイダーの庭




一回聞いただけでメロディーも歌詞も覚えてしまいそうなくらいストレートなポップ・アルバムであった「ひみつ」に比べて、最初聞いたときになぜだか取っ付きにくいという印象を覚えたが、聞き込むとそんなことはなく、とても素敵なアルバムだった。ただやはりその引っかかりは、「ひみつ」に比べて複雑になった演奏やメロディー故のものだったのだろうと思う。
素敵なカッティングギターや、淡々と感情を綴るようなドラムも好きだが、何よりここでも澤部氏のボーカルが最大の魅力だ。メロディーもアダルトだし、澤部氏の歌唱力も高く、太く繊細で迫力もある。一聴してパーフェクトに思えるが、しかしながらどこか若さとは違う未成熟さ・不安定さが隠れている。スタジオ盤なのにライブ盤のように聞いてしまう箇所がいくつかあるのだ。何を書いてるか自分でも分からなくなってきたけど、これがスカートを愛してしまう理由なんだろうなーとボヤッと思っている。




2. 豊田道倫 mtvBAND / FUCKIN' GREAT VIEW




前作に続きmtv BANDでの作品。ライブがとにかく圧巻だった。「Heavenly Drive」「オレンジ・ナイト」等、名曲多数。




3. Especia / GUSTO



捻くれたポップセンスを持つ大人達が、無自覚なアイドル 達を通じてマニアックな趣味を炸裂させている、ラッセンも間違いなく聞いているであろう良質なリバイバル系ポップス。本来ならイロモノで終わってしまいそうだが、しかしながらちょうど時代は90sリバイバル中で、所謂アイドル戦国時代を通過した頃合い、多種多様なアイドルが存在し、はたまたVaporwave等というナゾのジャンルも隆盛を極める昨今でありますので、ごく自然に街に馴染むのである。舞台はシティではなくアーバン、そしてプールサイド、サイダー、夏!と書くとなんとも変な音楽なのだろうと思わせてしまいそうだが、中年も安心して聞けるド直球のJ-POP Nu Age AORアイドルソングなのでご安心を。野菜のPVは久々に感動した。





4. V.A / Light Wave '14 (Vol.1)



記事: V.A / Light Wave '14 (Vol.1)


5. Tours / Kittens e.p.




6. 箱庭の室内楽/ゆるめるモ! / 箱めるモ!




7. Ayl_E / Le Cosmicomiche

※10日間限定配信のため現在アートワーク含めデータ無し。


8. Shin Rizumu / 処方箋ep




9. aiko / 泡のような愛だった




10. 銀杏BOYZ / 光の中に立っていてね




邦楽に関しては、ポップ・ミュージックの正統が輝く結果となったと思います。10年ほど前は、恐らくは80年代のリバイバルものが跋扈していたが、そのままスライドして今日の90年代再評価に至るようです。素晴らしい。
これは世代柄なのかもしれませんが、80年代という時代そのものがサブカル臭に溢れていたため、現代のミュージシャン達がいくら引用をしても小聡明さが強く残ってしまう印象を受けてましたが、90年代は引用元が元来ポップ志向で下世話でアート感がないので、「ついにここに切り込んでくれたか!」という感動がありました。
ポップ方面の音楽がアツかったので、オルタナティブ系は控えめなランキングですが、それも時代の流れなのでしょう。4位のコンピに参加し、8位のソロ作を出しているShin Rizumuさんは今年初めて聞いたのですが、まだ相当に若いのに甘い大人のメロディを奏でていて驚きです。キリンジからの影響が強いようなのですが、4位「Light Wave '14 (Vol.1)」は渋谷系やシティ・ポップそのものではなく、その後継世代に当たるキリンジ、Cymbals、ROUND TABLE、更にはaiko等の雰囲気を強く感じました。そういえば、キリンジとaikoは「雨は毛布のように」で共演してるんですよね。そのaikoも今作は本当に快作であったなと思います。
以上、上半期、本当に傑作が多かったので、半期決算してみました。

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