7/17/2014

Tours / Kittens EP

TOURSを知ったのは下北沢のJET SETにスカートの新譜を買いにいったときだ。
スカート「サイダーの庭」は予想外に値段が安く、ワンコイン余ったのでもう1個なんか買っとくかと田舎者の私は考え、果てに目の前にあったこの感じのよいジャケットの作品を手に取った。そんな私はジャケ買い信者である。
試聴もしなかったのでまったく音の想像はつかないが、まあJET SETで売ってるなら間違いなかろうということで帰宅してプレイヤーにかけてみる。するとどうだ、下手したらスカートより素敵じゃないか、ってくらい良い音が流れてきた。

調べてみるとボーカルは2011年に解散したYOMOYAの山本氏、ドラムは話題のシャムキャッツの藤村さんということで、なんとまあ手に取るべくして手に取ったようなCD-Rであった。



音は非常にまろやかで、進行形のUSインディー系と共鳴するような音だと思う。
こういう音は流行だと思うが、どう表現したらいいのか分からない。紹介記事等を見ていると、フォーキー、オルタナティブ、シティー等のキーワードが頻出するが、そんな感じで間違いない。例えて言うなら、山本さんの、さらりとしつつもアクの強いボーカルと歌詞、分かりやすいメロディーの組み合わせはAlfred Beach Sandalなんぞを彷彿させたりする。はたまた、ちょっと不協和音的なコーラスや捻くれたギターリフなんかを聞くと、昔いたSoFkayなんてバンドを思い出したりも。まあそれは余談で。
巷に溢れるシティポップ系、オーガニック系のロックと同じ括りに入れられていても違和感は無いくらいにとても耳なじみが良いが、前述の通りのコーラスや、絶妙なブレイク、強靭なドラムソロ&ギターソロ等、サウンドは本当にクセがある。超絶にトガっている。聞いていて飽きない。それから、所々字余りになりそうな分量のリリックを綺麗に歌いこなすのが、とても面白い。

本作は4曲入りのEPであるが、どれも異なる志向でありながら、美しくまとまった鮮やかな作品である。

1. Kittens
タイトル曲。YOMOYA結成からカウントすればもう10年近い経歴になる山本氏のセンスが結集されている、と思う。



2. ドレスコード
一番好きな曲。「君とワルツを踊る格好になる」という詞のお洒落さったらない。アウトロの歪んだギターまでじっくり快感を味わえる。

3. 王の船
王舟?一番スローな曲。展開部の地味な盛り上がり方は、とても奥ゆかしく、ピアノ(?)系のノイズが重なるところは本当にグッとくる。



4.  赤い車
タイトルのせいじゃないが、スピッツが歌ってても違和感のないような元気な曲。
なんだからところどころナンバーガールの影を感じる。この曲に限らず。全然音の表面には出ていないけど。

と、ここまで書いて思ったのが、騒がしい白昼夢のようなアルバムと書くとしっくり来る。決して夜向けの音楽(ナイト・ミュージックとでもいうのか?)ではないし、シティ系でもアーバン系でもなく、真っ昼間から河原でドンチャンとBBQをするような、小洒落ないジャンキーさが魅力だ。そしてそれこそ、超究極のお洒落であり、美しい。

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