1/20/2016

Ykiki Beat / When the World is Wide



昨年のデビュー組で一番話題が沸騰したのはYkiki Beatであったと思う。デビュー前から名前はよく聞いていたが、満を持してリリースされアルバムもアジカンのゴッチが絶賛するなど各所で好評を博し、一躍スターダムにのし上がったようだ。

彼らの売り込みの中で目立ったのは「洋楽のような」というコピー。聞けばまさにその通りで、歌詞は英語、プロモーション・ビデオも(後にリリースされたものを含め)日本人感を極力排した仕上がりとなっている。当然サウンドもストロークス以降のUSインディー・ロックとシンクロするような内容で、予備知識無しに聞けばほぼ洋楽と間違えるだろう。
で、要は「だから何だ?」という話である。洋楽が聞きたいなら洋楽を聞けばいいし、日本人が舶来風の洒落た良い音をやってくれるのは嬉しいが、それが洋楽未満の単なるコピーに過ぎないのであれば需要もないだろう。もちろん米粉で作った米粉パンみたいに、普通の小麦のパンを食えばいいのに、食料自給率が云々、グルテンが云々と申して食わぬ輩もいるわけで、邦楽の延長線上にある事を有難がる向きもあるだろうが、そんなものほんの一部に過ぎない。彼らのアイデンティティとはーー?
と、ここまで散々貶めておいてなんですが、上記はどちらかと言うとスタイルの話であり、彼らの楽曲そのものは大変恰好良い。ストロークスのファーストに熱狂していた中学生時代の私なら日本にこんなバンドが⁈と心酔しただろう。とにかく抜群に耳馴染みの良いメロディー、シンプルなリズム隊、時に太めで情熱的になるボーカルの歌いこなし、キャッチーなリフレイン、他。同じように洋楽風のロックを志向する「The fin.」や「PAELLAS」等と比べても頭一つ抜けた圧倒的な才能を感じさせる。

しかしながら、ブログ「音楽だいすきクラブ」さんで毎年集計されているブロガーによるアルバムランキングの2015年版で、彼らは意外にも81位と健闘しなかった。あくまで一指標に過ぎないが、前評判の割には、と意外に思ったのだ。こうなると所謂「ハイプ」の典型パターンに陥ってしまいそうだ。
洋楽に引けを取らない音ならヒットチャートにさえ意外と溢れている昨今、それはもはやただのスタートラインなのかもしれない。メッセージ性とか、日本語の歌詞がとか、そんなしょーもないことは全く思わないが、セカンドでは何かしらの新しさを持ったもう少し有機的な作品を期待したい。

Ykiki Beat / Modern Lies

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